今をときめく旬のデザイナーがどんな手のうちを見せてくれるか…。 「東京メトロ」の広告は地下鉄乗車マナー啓発がテーマである。 マナーは今更言われるまでもないことで、 ありきたりのアプローチでは注意を喚起することが容易ではない。 それを「やってはいけない」から「やろう」という 意表をついた表現に切り替えることで、 目的を果たすことに成功した例である。 そして、個性を抑えた寄藤氏独特のイラストが、 見る人に素直に届くのだ。 「JT(日本たばこ)」は喫煙マナーを啓発するケース。 様々な喫煙シーンにユーモアを交え図解する。 映画館の例ではかつての大ヒット映画のパロディーに絡めたコピーとイラストで 興味を持って読ませることで、共感を得ようというものである。 もうひとつのJTの例は、 シンプルなピクトグラムと気の利いたコピーの組み合わせが効果をあげている。 これらが彼の言う「劣化したイメージの鮮度をあげる」ポイントである。 わかったつもりでいること、今更言われるまでもないこと、 ありふれすぎてだめだと思っていることなどを もう一度デザインでリサイクルし、鮮度を与える、 これがデザインによる編集術であると言うのだ。 このコンセプトを敷衍(ふえん)したのが「うんこ」「死」「数字」など 出版にはそぐわないテーマを敢えて単行本にして表現している。 デザイナーの好奇心、創造力とはかくあるべしとの見本である。 寄藤氏独特のイラストは、 かつてマニュアルに添える図解のような仕事を 大量にこなしているうち自然に培われたもので、 特に意識して作り上げたスタイルではないと言う。 作図はぺんてるのハイブリッドボールペン、 文案は殆どコピーライターとの共作である。(寺本) |


















